発刊:2016年4月5日
価格:2,500円(+消費税)
判型:B5判
頁数:128頁(カラー72頁)
ISBN 978-4-907083-33-5C0040

ブラジルの最新エコアクション
森林農業とバイオエネルギー戦略

COP21の「パリ協約」を受けて、世界が注目するブラジルのバイオエネルギー戦略と、持続可能な農業を実践するアグロフォレストリー(森林農業)の最新動向を紹介。バイオ燃料の原料として期待されるヤシ栽培と牧畜を組み合わせた画期的な農業システムや、世界有数の農業国ブラジルを築いてきた日系移民の歴史や思想も必見。リオ五輪を控えて世界の目を集めるブラジルの最新エコアクションが明らかになります。

目次
特集
ブラジルの最新エコアクション
森林農業とバイオエネルギー戦略
監修 糸長浩司+内ヶ崎万蔵(日本大学生物資源科学部)

2 巻頭言 サステイナブル・ダイバシティ・ブラジル 糸長浩司(日本大学生物資源科学部)
14 貴重論文 ブラジルのバイオエネルギー戦略 内ヶ崎万蔵(日本大学生物資源科学部)
22 ブラジル・セラード 農業開発と環境保全 溝辺哲男(日本大学生物資源科学部)
30 最新報告 マカウバヤシによる畜産・バイオエネルギー複合戦略 セルディオ本池(ビソーザ連邦大学)
36 世界が注目するブラジルのアグロフォレストリー 林 建佑(トメアス文化農業振興協会)
44 セラード地帯の植生 ラッセ・メデイロス・ブレイアー(ブラジリア国立大学)
50 ブラジルの有機栽培コーヒーとフェアトレード クラウジオ牛渡(テラ・ベルディ)
56 ブラジルのFSC認証林における取り組み 古澤千明(WWF ジャパン 自然保護室)
60 サンパウロ都市圏における有機農業の現在 廣野 慎(studio-L サンパウロ)
66 「大原治雄写真展:ブラジルの光、家族の風景」より
74 ブラジルの森林農業誕生にみる日本人入植者の歴史と思想 佐藤貞茂(アルファインテル)

ミニ連載
82 ヴィンテージ・アナログの世界 レコード・レーベルの黄金期 ⑨_高荷洋一
86 近代数寄者と書 ③ 益田鈍翁と「益田本和漢朗詠集」_恵美千鶴子

連載
90 コミュニティデザイン学科通信 ③ 大学生のアタマのなかを覗いてみた_出野紀子
98 Art for Humanity ⑪ 西洋の「ヒューマニズム」を再考する_倉林 靖
106 動物たちの文化誌 ⑭ 絵巻物の動物たち_早川 篤
114 ネイチャー・センス ⑩ カンボジアの自然と歴史と亡霊_片岡真実

著者紹介
糸長浩司 いとなが・こうじ
日本大学生物資源学部教授。環境と共生するあり方について研究し、飯舘村の支援活動などを行う。NPO法人エコロジー・アーキスケープ代表理事。

内ヶ崎万蔵 うちがさき・まんぞう
日本大学生物資源科学部准教授。ブラジル生まれ。ビソーザ連邦大学、東京農工大学大学院に学ぶ(農学博士)。バイオ、メカニクス、エレクトロニクスの手法を駆使して、農業の自動化システムの開発(精密農業)、バイオマスエネルギー(微生物燃料電池、バイオエタノール、メタン発酵)、ミツバチを活用した環境診断(Internet of Bees-IoB)に関する研究などを行っている。

溝辺哲男 みぞべ・てつお
日本大学生物資源科学部准教授。30年以上にわたり中南米とアフリカ地域を中心に日本のODA及び国際機関の開発プロジェクトに従事。2010年より現職。専門は開発途上国における開発プロジェクト計画策定(プランニング)と開発インパクト評価。

セルジオ本池 Sergio Y. Motoike
ビソーザ連邦大学農学部植物資源学科准教授。ブラジル日系三世。サンパウロ州パラグアス大学、ビソーザ連邦大学大学院、米国イリノイ州立大学大学院に学ぶ(農学博士)。専門は、ブラジルにおける野生植物の商業生産のための品種改良と適応法とに関する研究。

林建佑 はやし・けんすけ
トメアス文化農業振興協会理事。京都大学在学中に日本ブラジル交流協会生としてエイダイ・ド・ブラジル(べレン)で研修し、トメアスのアグロフォレストリーに出会う。特定非営利活動法人野生生物を調査研究する会でJICA草の根支援事業(支援型)「アマゾン自然学校プロジェクト」のプロジェクトマネージャーを務めたのち、環境関係の財団法人勤務、外務省専門調査員(在リオ日本国総領事館配置)を経て、フルッタフルッタ社に入社。2014年より現職に就任。

ラッセ・メデイロス・ブレイアー Lace Medeiros Breyer
ブラジリア国立大学植物学科教授。リオグランデドスル連邦大学、ブラジリア国立大学大学院に学ぶ(農学博士)。2002年より現職。専門は、植物学、セラード植生、セラード生物多様性。

廣野慎 ひろの・まこと
1974年大阪府生まれ。大阪府立大学修士課程卒業後、設計事務所勤務を経て2003年よりブラジルへ移住。サンパウロ近郊のイタペセリカ・ダ・セーハ市の農場にて、庭木や盆栽の苗を生産する傍ら、自給自足を目指し有機野菜を栽培する。設計事務所勤務期からstudio-Lに参画。

クラウジオ牛渡 Claudio Ushiwatari
パラナ連邦大学、東京農工大学で環境微生物学などを学んだのち、有機コーヒーの栽培を指導。2004年、ブラジル・クリティバ市で、ブラジル初のオーガニックカフェ「TERRA VERDI」をオープンし、経営にあたる。現在、緑の大地、有機コーヒー店を営む。

古澤千明 ふるさわ・ちあき
金融機関を経て、WWFジャパン入局。海外の森林保全プロジェクトなどに携わる。現在は、各国のWWFとも協力しながら、主に紙に関して森林資源の持続可能な利用を推進する。

佐藤貞茂 さとう・さだしげ
アルファインテル南米交流社長。1950年東京生まれ。東京農業大在学中に農業実習生としてブラジルに渡り、約1年間日系農家に滞在。卒業後、ブラジルの日系旅行代理店の東京支社を経て、1979年より現職。以来、日本とブラジルをつなぐ企画旅行を展開し、両国の交流に寄与する。