神々の宿る聖地

世界遺産 熊野古道と紀伊山地の霊場

著者:五十嵐敬喜、岩槻邦男、松浦晃一郎、西村幸夫監修
発刊:2016年12月5日
価格:1,800円(+消費税)
判型:A5
頁数:176頁(カラー16頁)
ISBN 978-4-907083-38-0 C0040

紀伊山地には、自然信仰、仏教、修験道を背景に形成された、「吉野・大峯」「高野山」「熊野三山」の三つの霊場があり、千年以上にわたって日本人の精神性に重要な役割を果たしてきた。この三霊場とそこへ至る参詣道は、「信仰の山」の伝統を良好に残す比類のない事例として、2004年に世界遺産に登録された。以来、国内外から多くの人々が訪れるようになり、2016年11月に、熊野古道の中辺路と大辺路、高野参詣道で新たに追加登録が認められた。
本書は、追加登録を記念して、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の歴史と概要、海外にも人気の高い熊野古道の魅力、世界遺産の景観や自然を守る地元の人々の活動を紹介する。

目次

第一章 紀伊山地の歴史と世界遺産の概要
信仰の山、紀伊山地の歴史 辻林 浩 06
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産 藤井幸司 24

第二章 座談会
世界遺産熊野古道 日本の自然観から世界平和へ
五十嵐敬喜+岩槻邦男+辻林 浩+西村幸夫+真砂充敏+松浦晃一郎 23

第三章 紀伊山地の自然と信仰
紀伊山地の自然と熊野古道 岩槻邦男 66
高野参詣の作法 山陰加春夫 82
吉野・大峯と熊野三山の結びつき 菅谷文則 98
人はなぜ歩くのか 五十嵐敬喜 114

第四章 熊野古道を守るために
熊野古道を取り巻く森林 文化的景観と森林管理 速水 亨 130
世界遺産の保全と地域の取り組み 真砂充敏 144
熊野古道をめぐる議論 「顕著で普遍的な価値」と今後の論点 西村幸夫 156

著者紹介

五十嵐敬喜(イガラシ タカヨシ)

1944年山形県生まれ。法政大学名誉教授、日本景観学会会長。弁護士、元内閣官房参与。「美しい都市」をキーワードに、住民本位の都市計画のありかたを提唱。神奈川県真鶴町の「美の条例」制定など、全国の自治体や住民運動を支援する。

岩槻邦男(イワツキ クニオ)

1934 年兵庫県生まれ。兵庫県立人と自然の博物館名誉館長、東京大学名誉教授。世界自然遺産候補地の考え方に係る懇談会座長。日本人の自然観にもとづく地球の持続性の確立に向けて積極的に発言している。94 年日本学士院エジンバラ公賞受賞。2007年文化功労者。

松浦晃一郎(マツウラ コウイチロウ)

1937年山口県出身。外務省入省後、経済協力局長、北米局長、外務審議官を経て94 年より駐仏大使。98 年世界遺産委員会議長、99 年にはアジアから初のユネスコ事務局長に就任。著書に『世界遺産─ユネスコ事務局長は訴える』(講談社)、『国際人のすすめ』(静山社)など。

西村幸夫(ニシムラ ユキオ)

1952 年、福岡市生まれ。東京大学教授。日本イコモス国内委員会委員長、文化庁文化審議会委員、同世界遺産特別委員会委員長。専門は都市計画、都市保全計画、都市景観計画。『西村幸夫 風景論ノート』(鹿島出版会)、『都市保全計画』(東大出版会)など著書多数。