BIOCITY ビオシティ 87号 オーストリアのエネルギー自立と持続可能な地域づくり

発刊:2021年7月6日
価格:2,750円(税込)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-71-7 C0040

持続可能な地域社会づくりを意識したエネルギー自立政策で先進的な取り組みを進めるオーストリアに注目。小規模の自治体が多数存在するオーストリアでは、それぞれの地域が風土や自然、産業・文化に合わせた独自のエネルギー政策を立案し、それを全面的に支える仕組みがいくつも存在する。また、草の根で楽しみながら進める市民の文化がある。今号では、その具体的なシステムと事例を紹介し、日本への示唆を考えます。

インスブルック市中心部を走る路面電車(写真:久保田学) ウェルグル自治体公社前の太陽光発電(写真:木原浩貴) 自然湖のような揚水ダム「チェロン湖」(写真:滝川薫)
谷に広がる太陽光パネル クルムバッハ村のバス停 Photo ©Adolf Breuter 最大電力供給源の水力 © Klima- und Energiefonds

目次
特集1 巻頭言「オーストリアの先進性に学ぶ」的場信敬

Part 1:エネルギー自立の最前線
「草の根によるエネルギーの大改革」滝川 薫
「農山村の地域発展とエネルギー自立」久保田 学
「都市におけるエネルギー自立」木原浩貴
「林業・木材産業・バイオマスエネルギー」渕上佑樹
「生活の質を向上させる省エネ対策」上園昌武+上園由起

Part 2:持続可能な地域づくりを支える仕組み
「自治体の気候エネルギー政策を支える仕組み」豊田陽介
「オーストリアの中間支援組織」平岡俊一
「エネルギー事業の担い手とローカル経済圏」手塚智子
「農山村振興のためのボトムアップ政策」石倉 研
「2040年脱炭素を目指す政策とエネルギーシフト」歌川 学

ミニ連載
平家納経を考える④ 厳王品 恵美千鶴子
ヴィンテージ・アナログの世界 レコード・レーベルの黄金期㉕ 高荷洋一

連載
動物たちの文化誌㉛ 疫病と動物たち  早川篤
欧州グリーンインパクト⑦ フランスのパーマカルチャー 遠藤浩子

著者紹介
的場 信敬:龍谷大学政策学部教授。1973年神奈川県生まれ。英国バーミンガム大学博士課程修了。専門は、地域ガバナンス論、持続可能性論。ステイクホルダーのパートナーシップによる持続可能な地域社会の実現について、政策・システムの視点から研究。著書に『地域空間の包容力と社会的持続性』(共編著、日本経済評論社、2013年)など。

滝川 薫:環境ジャーナリスト、ガーデンデザイナー。東京外国語大学イタリア語学科、オーシュベルク造園学校植栽デザイン課程修了。北スイスに在住し、持続可能なエネルギー・建築・地域発展をテーマとした視察セミナーや執筆活動を行う。著書に『サステイナブル・スイス』(学芸出版社)、『欧州のビオホテル』(ブックエンド)など多数。

久保田 学:公益財団法人北海道環境財団事務局次長。1963年千葉県生まれ。北海道大学工学卒業後、旧環境庁勤務を経て、97年より札幌を拠点に官民の環境保全活動支援、環境教育・ESD、政策コミュニケーションなどに従事。環境省北海道環境パートナーシップオフィスの設立・運営など、地域と政策をつなぐ仕組みや対話の場づくりを実践している。

木原 浩貴:京都府地球温暖化防止活動推進センター副センター長。1977年生まれ。気候ネットワークを経て、2003年の京都府地球温暖化防止活動推進センター設立に携わる。2011年より同センター事務局長、2020年7月より現職。たんたんエナジー株式会社代表取締役、総合地球環境学研究所客員准教授。

渕上 佑樹:三重大学准教授。1982年佐賀県伊万里市生まれ。京都府地球温暖化防止活動推進センター勤務を経て、2015年に三重大学大学院生物資源学研究科助教、2020年より現職。専門は木材に関する環境影響評価、経済効果の分析など。

上園 昌武:北海学園大学経済学部教授。1969年生まれ、北海道出身。島根大学教授を経て現職。専門は、資源・エネルギー経済論。脱炭素社会の実現に向けた政策提言を行う。エネルギー貧困問題にも注目。

上園 由起

豊田 陽介:特定非営利活動法人気候ネットワーク上席研究員。1977年広島県生まれ。立命館大学大学院修士課程修了。専門は、再生可能エネルギー政策。現場での実践と研究をとおして地域を主体にした再生可能エネルギー導入・普及のためのコンサルティングや支援に取り組む。共著書に、『エネルギー・ガバナンス』(学芸出版)など。

平岡 俊一:滋賀県立大学環境科学部講師。1978年愛媛県生まれ。立命館大学大学院修了。参加・協働型の持続可能な地域づくり推進のためのガバナンス、社会的基盤のあり方について、各地でのフィールドワークをもとに研究。共著書に『エネルギー・ガバナンス:地域の政策・事業を支える社会的基盤』(学芸出版社)など。

手塚 智子:市民エネルギーとっとり代表、市民電力連絡会理事。ドイツ留学、環境団体勤務を経て、自然と共生する持続可能な地域づくり、地域エネルギー活用の実践・支援、エネルギーの自治と協同をテーマに調査研究に取り組む。

石倉 研:龍谷大学政策学部講師。1987年新潟県生まれ。一橋大学大学院修了。専門は、環境経済学、地域経済学。地域と環境という観点から、地域資源の活用や保全に関する政策研究に取り組む。共著書に『農家が消える』(みすず書房)、『輝く農山村』(中央経済社)など。

歌川 学:産業技術総合研究所主任研究員。1964年東京都生まれ。東北大学大学院修了。専門は機械工学・環境工学。脱炭素にむけた技術普及選択評価、エネルギー・CO2シナリオ研究に取り組む。著書に『スマート省エネ』(東洋書店)など。

アート

前の記事

BIOCITY SDGs選書
アート

次の記事

鶴岡八幡宮の名刀