BIOCITY ビオシティ 86号 NbS 自然に根ざした解決策 生物多様性の新たな地平

発刊:2021年4月6日
価格:2,500円(+消費税)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-69-4 C0040

2021年1月に開催された生物多様性のための「ワン・プラネット・サミット」で、各国首脳が次々に言及し、いま注目が集まる「NbS 自然に根ざした解決策」とは何か? その全容を日本で初めて総合的に解説する入門書。NbS誕生の歴史と背景、支援するグリーンファンド、教育ツール、コロナ復興との関係などのテーマのほか、100点以上のカラー写真で紹介する世界の事例は必見。

 

 

  

目次
巻頭言 「NbS 生物多様性と気候変動の危機へのソリューション」古田尚也

Chap 1「NbS誕生の歴史と社会的背景」古田尚也
──NbSは、数十年にわたる自然保護の成功や失敗が基盤となって生まれた。また、世界的な人口増や経済発展、南北格差の縮小、気候変動など関連する様々な地球規模の問題が背景にある。こうした歴史や背景を概説し、NbS誕生の必然性について理解を深める。

Chap 2「IUCNが提案するNbSの世界標準」古田尚也
──NbSへの期待が高まる一方で、その概念の不正確な理解と誤った使用にたいする懸念も増している。こうしたニーズにこたえるために開発され、2020年に公表されたIUCNのNbS世界標準について概説する。

Chap 3「NbSとグリーン・ファイナンス」古田尚也
──生物多様性保全と資金の歴史を振り返りながら、民間資金と公的資金を組み合わせたブレンド・ファイナンスの仕組みなど、NbSをめぐる新しいファイナンスの側面について解説。

Chap 4「コロナ復興の鍵を握るNbS」ソニヤ・ペーニャ・モレノ(IUCN)
──新型コロナからの世界経済の復興に対して、各国政府が捻出する莫大な予算の使途は、私たちの未来を大きく左右する。IUCNが提唱する「自然に基づくポストコロナ復興イニシアチブ」を紹介。

Chap 5「NbSと持続可能な農業政策」ジョナサン・デイヴィス+ルードヴィック・ラボディエル(IUCN)
──IUCNの新しい農業・食料に関する戦略を紹介するとともに、それが生物多様性や気候変動、また、土壌劣化という地球規模の課題にどのように貢献できるのか、その道筋を解説。

Chap 6「IUCNの生態系レッドリスト」マルコス・ヴァルデラバノ(IUCN)
──絶滅危惧種種のレッドリストを生態系評価に応用した「IUCN生態系レッドリスト」が、世界各地で適用され始めた。その概要を解説し、2021年に発表されたばかりの新しいIUCNの生態系世界類型を紹介。

Chap 7「NbSの教育ツール」ナタリー・ドズワルド+カレン・スドゥマイヤー=リュー(国連環境計画)
──2021年1月に開設され、すでに世界各国から1万人以上の受講生が登録するNbSを学ぶ無料オンラインコースや、世界各地の高等教育機関で活用が始まったEco-DRR、EbAに関する修士課程レベルの教材を紹介。

Chap 8「IUCNの活動」古田尚也
──1948年に設立され、自然保護に関する世界最大のネットワークを有する国際機関であるIUCNの歴史や概要、その活動と役割を紹介。

Chap 9「世界の多様な事例に学ぶ」古田尚也
──NbSの個別事例を掲載するウェブや書籍の事例を紹介。また、世界各地の事例を60点以上の写真で紹介し、NbSの様々なアプローチを提示する。

著者紹介
古田尚也:大正大学公共政策学科教授兼IUCN日本リエゾンオフィス・コーディネーター。1967年神奈川県生まれ。三菱総合研究所在職中の2000–01年に、日本人で初めて国際自然保護連合(IUCN)スイス本部職員となる。2009年にIUCN日本事務所が設立され、責任者として生物多様性に関する国内外の政策展開に携わる。2015年より現職。編・著書に『Asian Sacred Natural Sites』(Routledge, 2016年)、『実践!グリーンインフラ』(日経BP、2019)など。東京大学農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。BIOCITY編集委員。

ソニア・ペーニャ・モレノ:IUCNグローバル・ポリシー・ユニットの責任者代理。同部署のグローバル生物多様性政策・ガバナンス・コーディネーターとして約20年間主に生物多様性条約(CBD)を中心としたIUCNの生物多様性政策や国連プロセスを担当。2021年2月より、責任者代理として、IUCNの新しい「自然に基づく復興イニシアチブ」を担当している。

ジョナサン・デイヴィス:IUCNグローバル・ドライランド・イニシアチブのグローバル・コーディネーター。IUCNの世界業プログラム、持続可能な土地管理、放牧地再生、持続可能な牧畜に関する責任者。また、国連砂漠化対処条約にIUCNを代表して参加している。農業経済の博士号を有し、持続可能な開発と保全に関しアフリカ、アジア、ヨーロッパ各地で25年の経験を
有する。

ルードヴィック・ラボディエル:IUCN農業と環境シニア・エキスパート

マルコス・ヴァルデラバノ:IUCN生態系レッドリストのプログラムマネージャー。ペルー、エジプト、レバノンなどでのプロジェクトを経て、2010年からはIUCN地中海事務所で生態系管理に関するプロジェクトに従事。2020年より生態系レッドリストの責任者である現職に就任。

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